ブロックチェーン技術を使っていんちき呼ばわりされる場合があるのを防げる理由
2023年04月24日
Web3.0
容易に複製や改ざんが可能なデジタルデータは、いんちきや不正を疑われることもありますが、ブロックチェーン技術の活用により不正の防止が可能になりました。
本記事では、なぜブロックチェーン技術でいんちき呼ばわりされるのを防げるのか、技術の仕組みやメリット、活用事例を紹介します。
ブロックチェーンは改ざんされにくい技術
ブロックチェーンは、多数のコンピューターが分散して情報を保有する「分散型台帳」と呼ばれる仕組みにより、改ざんが困難な構造を持っています。
ブロックチェーンは、複数のコンピュータに取引情報を「ブロック」として分散して記録し、整合性を保つ仕組みです。
一部のデータが改ざんされた場合、他のブロックにも影響を及ぼすため、一つのブロックを改ざんすると、他のブロックチェーンも作り直さなければならなくなります。
従って、ブロックチェーンはチェーンが長いほど改ざんが難しくなり、仮に改ざんされたとしても、他のデータと整合性が取れないことから発覚が容易なため、セキュリティやデータの信頼性を担保できます。
ブロックチェーン技術の仕組み
ブロックチェーン技術は、次のような仕組みで高いセキュリティを維持しています。
暗号化
ブロックチェーン技術には、セキュリティ向上に、次のような暗号化技術が使用されています。
- ハッシュ関数:一方向で不可逆の変換ができない関数
- 公開鍵暗号方式:暗号化・複合化する際に公開鍵と秘密鍵を用いる方式
- 共通暗号方式:二者間の通信を暗号化する際に、複合に暗号化と同じ鍵を使う方式
P2P
ネットワークに参加する複数のノード(コンピューター)が同等の役割を持って通信を行う仕組みです。障害を起こして停止したノードがあっても他のピアでは通信が行えるため、ゼロダウンライムを実現できます。
DLT
複数のノードに台帳を分散して管理する仕組みです。データの改ざんができず不正取引ができなくなり、仮に改ざんされたとしても、すぐに気づくことができます。
コンセンサスアルゴリズム
取引が正しいかどうかを監視・管理し、データの整合性を担保する仕組みです。複数の種類があり、目的や用途に応じて適したアルゴリズムが採用されます。
たとえば、ビットコインには、「PoW(新規ブロック生成に、コンピュータの計算で改ざんや間違いがないかを証明する仕組み)」と呼ばれるアルゴリズムが用いられています。
ブロックチェーンのメリット
改ざんが非常に難しいブロックチェーン技術を活用し、正当にビジネスをしていることを証明して、不正やいんちき呼ばわりされるのを防ぐことが可能になります。
たとえば、食品業界において、商品の由来や真正性を証明したり、健康被害につながる可能性がある場合には瞬時に追跡し食中毒の拡散を防いだりすることが可能です。そのため、取引における信頼性や透明性を高められます。
ブロックチェーンの活用事例
ブロックチェーン技術の活用した事例を紹介します。
三菱UFJ信託銀行
三菱UFJ信託銀行では、ブロックチェーンを活用したセキュリティトークン(デジタル証券)を発行する「Progmat(プログマ)」を提供しています。
不動産投資にブロックチェーンを活用することで、投資単位を小口化し、少額からでも投資できるようにしたサービスです。これまで大口でしか購入できなかった投資商品を小口化し、多数の投資家が購入できるようになっています。
ソニー
ソニーでは、ブロックチェーン技術を活用して楽曲管理を行う実証実験を行っています。ブロックチェーンの利用により、中央管理者を通じて権利を証明する必要がなくなり、クリエーター間で同意のうえ、コンテンツの共有が可能になりました。
まとめ
ブロックチェーン技術は、複数の技術を組み合わせて改ざんが難しい仕組みのため、不正やいんちきを防止し、権利や所有者を明確にすることができます。
この仕組みを活用して、自社の製品やサービスに付加価値をつけることが可能です。
導入する企業も増えているため、企業はブロックチェーンの価値を理解し、今後のビジネスの可能性を広げられるよう、自社での活用を検討してみるとよいでしょう。